5箱目交換率

4円等価主義と釘調整
1.貸し玉料4円
経済不況と言われて久しい日本、ペイオフ、完全失業率、リストラ、年金未納、銀行統廃合、デフレと、どの言葉もネガテイィブな響きが漂っていて、鬱陶しい限り。政府筋は、最悪な底の状態は脱出したと苦しい弁明をするが信用する気には到底なれない。
こうした経済不況に対応するかのように価格破壊が様々な業種の分野で進行する中、当パチンコ業界に目を向けると、1玉の貸し玉料金が4円になったのが1978年、以来貸し玉料について変化の兆しはない。貸し玉料4円に確定されてから、4半世紀もの長期間、デフレ・インフレにも関係なく玉1個の値打ちは同一でやってきたこと自体不思議に思えてならない。
2.交換率の意味
「世の中何でもかんでも、値段を下げて競争しているのだから、パチンコ業界も貸し玉料を1玉3円に下げたらどうだ、そうじゃないと、もうお金が続かないよ」というお叱りが、パチンコ好きなオヤジさんから聞こえてきそうだ。今更、言及するまでもないが、これだけお客様に、お金を使って頂いて、領収書の一つも出さなくて済む商売とはなんと素晴らしく、またそれを支えてくれるお客様は神様のような、有難き存在に思えてしまうのは、私だけではあるまい。そろそろ真剣にお客様の身になって、お客様の視点に沿った営業方法の確立をしなければ、いわゆる「客離れ現象」に歯止めを掛けることは出来ないであろう。
私は全国のパチンコホールにおける、いわゆる4円未満の交換率で営業するパチンコ店オーナーに問う、「1玉4円でお客様に貸し与えた玉をお客様がお帰りの際、1玉4円未満で引き取る理論的根拠とは一体どのようなものですか」と。沈黙が続く。
私は更に追って問い掛ける「その差額は、貸し玉手数料ですか。それとも場所代のようなものか寺銭ですか。それとも競馬場における2割5分の天引き控除に値するものですか」と。
3.低交換=店の都合主義
全国あちらこちらから、業務の依頼を受け、現地に赴き、まず議論となるのが、そのホールの適正交換率に関する議論である。いまだに多くのホールオーナーが、口を揃えて言う、「42個交換(2.38円)は、損益分岐割数が16.8であることから、その分スタートを高交換ホールより、多く回せばお客様も喜んでくれる。また調整の幅も広く設定でき、メリハリを利かせた調整上の冒険も出来る。イベントの演出もし易いetc…」
このような低交換支持の根拠を聞くたびに、私が感じるのは、今の2極化時代において、これからもまだ「ドンブリ勘定」でやっていけると思っているのかという醒めた視点でしかない。低交換を支える理論的根拠の全てがお店側の勝手な解釈、都合でしかなく、到底お客様に納得していただく根拠となり得ないものと判断している。なるほど、お客様もたくさんスタートが回っているのだから、満足しているとの反論も多いものであるが、A店が4円交換、B店が2.5円交換で、同じスタート回転数で営業した場合、お客様がA店に流れ込むのは、誰もが理解出来る理屈である。つまり、お客様の都合でいえば、お金を増やしにホールに行くのであるから、4円交換でであっても、機械調整上勝てる可能性がB店よりもあると感じられれば、A店にいくまでである。

3.4円交換営業はハイリスク
はっきり言ってしまえば、4円等価営業は、企業体力の強い組織に有利な商法である。しかしながら、ハイリスク・ハイリターン型といえ、初期立ち上げ段階において、7割稼動以上のお客様を引っ張り、絶対条件として、薄利多売方式に持ち込むまでの期間、営業が安定するまで上手くいくかどうかが、博打的要素が強く、綱渡りのような状況が続くというのも真相なのである。だから、明確な営業戦略のないホールが、高価にしても、続々と失敗していくわけである。

4.4円VS2.5円
これまで、多く見てきた光景は、既存店の近隣に4円等価で新規ホールがオープンすると老舗店は、3円交換ぐらいでそれなりの6割程度の稼動を維持していたにも関わらず、何を考えているのか、2.5円程度のレートに下げてしまい、勝負を挑んでしまうという、考え違いをしてしまっているホールをよく見受ける。戦略的には、「レートを下げ、その差益分を4円交換営業では出来ない豊富な出玉演出をすれば、お客様はこちらに寄ってくるだろう」との読み・仮説を立てているのだろうが、こうなると新規店の思うつぼである。どこかのタイミングであっさりと、16.8割営業をドカンと数日間仕掛けられてしまい、既存店に引導を渡してしまうのだ。そうなってから、慌てて適正レートを模索し、上げたり下げたりパニック状態になっている間に、既存店は疲れ果て、経営的にも行き詰まり、店を畳むというパターンを何度も全国のあちらこちらで、目の前で見てきた。

5.お客様の感覚
現在のお客様もレベルアップして、鋭い感覚が備わっているので、低いレートでだらだらと勝負するより、高いレート設定のホールで、短時間で大きくお金を増やしたいと考えていることをそうした低交換を支持、発想する経営者は見抜けないのだろうか。一度4円等価で大勝ちし、体感的に換金レートの大きな差額を認識してしまったお客様が低い交換レートホールに戻ることは、もはや難しい。それは、よりたくさん儲けたいという人間の本能に根ざした感覚を直接刺激されているわけであるから、当然の帰結ともいえ、すごく判りやすい論理である。

6.激変した機械性能
振り返ってみれば、1995年ぐらいまでは、3円交換以上のホールはまだほんの少数派であり、当時の機械スペックが現在とは大違いで、250分の1程度で、なおかつ連チャン性能が高かったこともあり、2.5円交換程度であっても、お客様も納得し、お客様とホール側のバランス関係の調和が保てていたものである。また競合店との競争は当時から激化していたとはいえ、ホールとお客様の位置関係においても、かろうじて、ホールの方が優位に立ち、強かったということも低交換システムが成立していた理由である。つまりお客様がホール遊戯に関するルール設定につき、強制的に近い形で従属せざるを得ないという状況があったことが背景に存在していた。

7.自然の理
左のぱちんこ道では、博打場における最重要基本原理は、公平感であると説いてきた。あくまでも、「1玉4円で貸すということであれば、4円で引き取るのが自然の理に適っている」という考えである。最も重要で基本的な金銭に絡むルール設定においては、よりシンプルで誰にも理解しやすい根拠が求められる。曖昧な根拠でのルール設定、ホール方針をお客様に押し付けるのは、危険である。ホールとお客様の位置関係の確立という観点からいえば対等ではなく、あえてお客様サイドが有利であると思わせる方針でなければならないと考えるものである。4円で貸した玉が3円乃至、2.5円で有無を言わさず交換されてしまうルール設定下では、その差額の1円、1.5円がどのような理論的根拠で差し引かれるのかお客様としては、釈然としない。その差額を手数料や場所代と定義したとしても、どうもピンと来ないのは、機械でプレイしたときに勝ち負けが決定されるのであるから、運営上の金銭は、負けたお客様から頂戴し、その配当を勝ったお客様に分配、それでも余った分をホールの利益にする程度で良いのではないかと思えてならない。仮にそうした差益だけでホール運営が出来ないからと反論されるのであれば、それはあくまでもホール側の都合でしかないということになる。ホール運営に関する機械入替えコストや人件費といった経費、ホール立ち上げ投資金といったキャッシュフローをめぐり、経営的に問題があるのであっても、その解決手段をレートをホール側が優位に設定することによって、お客様に向けるのは、筋違いではないかと考えるのだ。国がデタラメな政策をとり財政難となり、そのツケを消費税アップやら、税金に求めるのと同じ理屈であり、強者の驕りでしかなく、大衆の支持を受けるとは到底思えない。

8.ハイレートと釘調整
私は、3.57円以上の交換率を高交換、それ以下のレートを低交換と定義しているが、実際のところ、高交換における釘調整メンテナンスは、低交換よりも手間隙が掛かり、面倒で、細部における数値決定についても、より神経を使う。
これまで交換レートを上げた分のバランスをスタート回転数、確率変動ベース、大当たり出玉、スタート外ベース(4箇所のおまけ入賞チャッカーによる賞球)を削るという発想により、達成してきたのが一般的な高価交換におけるホールの姿である。特にスタート外ベースについては、削るというより、完全にグニャと釘をヒネリ、塞いで殺してしまうというような荒っぽい釘調整が堂々とまかり通っていたものである。当時お客様の方も、4円等価で、自由宣言(無制限・台移動自由・出玉共有)のスタイルが新鮮であり、別段そうした機械の調整設定に大きな不満を持つということも、なかった。ホール側のバランスを取るという都合が、たまたままかり通っていたに過ぎない。そして、時間の経過と共にやはりお客様の目が肥えて来ると、調整上の削るという部分に不信感、不満の目を向ける気風が出始めたのだった。時を同じくするように平成15年春の当局の指導で、そうした高価交換における調整スタイルの是正も求められた。
そう、高価交換プラスアルファが今のホール間差別化における緊急課題となっているのである。
別渇ページにて、もはや地区一番最強ホールの構築に避けては通れない「3大マニフェスト宣言」を作成した。3大宣言を導入した上での釘調整戦略と直結した経営戦略が取れるのかどうかが生き残りを賭け厳しく問われている。
*守秘義務により、オープンには出来ないが、少数派ながら、既にホール実証済みの原理主義であることはいうまでもない。