8箱目Updown

好循環と悪循環
1.天国と地獄
これまで、様々な分野の仕事を経験してきたが、再度パチンコ業界に身を置くようになり、これほどはっきりと好循環と悪循環のサイクルといったものを意識するビジネスの分野はなかった。一旦何とか、かなりの無理をしてでも、好循環の輪の中に入ってしまうと次から次からへ連鎖反応の如く、好条件が切れ間なく続き、新台の選択、スタッフの選別、競合店が自然に失墜とやることなすこと当たっていく。パチンコ風に言えば、「確変状態」が延々と続き、誰にも経験があることと思うがもうやめて帰りたいのに、確変が続いてしまい時計を気にしながら帰れないあの状態に似ている。地区一番の稼働となり、稼働が安定すれば、店長を始めとするスタッフの諸条件も改善され、ますますホールを良くしようと、普段のトイレ掃除にしたって思わず力が入る。自然と意識改革に拍車が掛かり、自分の勤務するホールの店内が汚れているのは恥ずかしいという感覚が芽生えてくるから不思議だ。スタッフが精神的に満たされ、健康的にも安定していれば、そうした雰囲気がお客様に悪く伝わる訳がない。普段あちらこちらのホールで、「作りもののイミテーション・スマイル」に辟易したお客様にも、気分良く奉仕の気持ちが伝わるに違いない。

2.アリ地獄
パチンコ商売における悪循環とは、アリ地獄のようにもがけばもがくほど深みにはまり、過酷である。稼働が思うように延びないからとお客様に還元し、集客アップを図りたいところであるが、オーナーから、厳命されている毎月の粗利益は死守しなければならない。新台の入替予算にも上限があり、すでにどの競合店にも導入されている人気機種は配置済みであるが、稼働が頭打ちで伸びない。仕方なく「新海物語」系のイベント用POP案に頭を悩ます日々。

3.答えは盤面の中
差別化、差別化と叫ばれるが、どの店舗も表面上の見せかけだけの差別化ということに囚われているように思え、本質的な部分に取り組んでいるとは思えない。もっと原始的な基本に立ち返って一つ一つの動作を見つめ直す必要があると考える。
玉が1分間に100個飛び、盤面を駆けめぐる。これはいじりようがない。あとは、「分間スタート」、「確変ベース」、「大当たり出玉数」、「スタート外ベース」を見直す以外に一体何が出来るのだろう。
お客さんの満足とホール利益確保のぎりぎりの限界点まで、とことん歩み寄っていく努力はされたのであろうか。固定観念の呪縛にがんじがらめになってしまっていて、新しい試みをトライするということを忘れていないだろうか。

4.攻撃と守り
各地で様々な経営者の方にお会いするが、いつも楽しみなのは、パチンコ事業創世記を盛り立てた第一世代の創業者の方々である。年齢的にもすでに高齢となっているが、パチンコビジネスにおける「攻撃的精神」の重要さは、以外にも若い世代の事業継承者よりも、より深く認識されている。稼働の弱いホール管理者に限って、「攻めるのも大事だけれど、守りの経営も大切ですよ。」などと自己弁護し、納得してしまっている。この商売において、守りの姿勢に回った時点で、すでにアウト。守りの感覚は、パチンコビジネスにおいて、全く必要はない。陳腐な言葉であるが、「攻撃は、最大の防御」とばかりに、アグレッシブに常に上に上にと戦いを挑んでいくようなハングリー精神の有無が全てである。

5.切り返し
隣に新店舗が出来る、相手は当然にこちらの店舗を廃業させようと仕掛けてきているのであるから、覚悟を決めなくてはならない。共存共栄は有り得ないのだ。あれこれと戦略的なことを研究し、相手の勢いが少し収まった後に、反撃するという経営戦略を実行した時期もあったが、今はそうはしない。やられたらその時にすぐにリニューアルし、やり返すという手法が一番効率的に良いと判断したからである。ある程度稼働人数において、差が出来てしまったからの切り返しは、更に数倍の投資と労力が掛かり、成功例も少なかった。
マラソンでいうところの「地区先頭集団」に何としてでも、しがみつき、へばりついていなければならない。相手と常に競り合い、隙あらば、追い抜くという勝負形態にしなければ、結局あとは時間の問題で脱落していってしまうものである。

6.マイペース
マラソンで勝者になるには、意図的に早く追い抜くということをしたからトップになれるのではない。自分のペースをどこまで守って走れたかの勝負だ。逆に相手を自分のペースに引きずり込めたらしめたものである。傍目には、先頭集団から、ポロポロ選手が脱落していくのは、ペースを上げたからであるような気がするがそうではない。自分のペースで着実に走っていけば勝てるという信念があれば、他者を気にしなくても、回りが勝手にペースを崩し脱落してくれるので、順位が上がるように見えるだけである。
A店が朝の確変先取りサービスをしているから、こちらも対抗して、同じサービスをしようというのでは、到底自分のペースで走っているとは言えないであろう。

Something New, Something Different.を探す旅。
捕まえようとすると、するりと手の中から、抜け落ちて行ってしまう。盤面の中に広大な宇宙のような奥深さを感じ日々じたばたしているが、約300本の釘が織り成すハーモニーの組み合わせに、その時々の答えを求めるようにしている。